昭和63年11月
5.人類共通の敵に歯止め
エイズ予防法案が十月二十七日、衆議院社会労働委員会で可決されました。 賛成の挙手をしながら、アメリカの厚生大臣のボーエンさんの声が私の脳裡をかすめました。 昨春、自民党の調査団としてアメリカのエイズの実情を視察その際、ボーエンさんが「アメリカは初期の対策を誤った。日本はアメリカの二の舞いにならないように」と忠告、その言葉が政治家で医者でもある私の胸に鋭く突き刺さったのです。 アメリカのエイズ患者は八万一千人、すでに四万人が死亡。日本は患者が九十人(八月末)で、これから広がる危険性があります。 エイズは異性間交渉、同性愛、輸血などで感染、五年以内に死ぬ恐しい病気。まだ完全な治療方法はありません。
法案の骨子は、医者が患者とわかったら住所、氏名を秘して知事に届け出。住所、氏名を届け出るのは多数感染の恐れがある場合に限ります。
医者と忠者の信頼関係を重視人権に十分配慮しながら、正しい知識の普及、情報の収集、研究の推進を図るものです。 輸血で感染した血友病患者には別に救済措置を講じます。 ベネチィヤ・サミットの議長宣言で人類共通の敵とされたエイズの対策を、いち早く国会で取り上げた議員としては、エイズ予防にささやかな貢献をさせていただいたと喜んでいます。 |